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それから何日も、何日も何日も。
Aは話しに来なかった。
やはり鬼の俺なんて、どうでもよかったんやろか。
やはり、裏切られてしまったんやろか。
｢おにさんこちら｣
あの言葉を、聞かせてくれよ。
真っ暗な光に心を照らされた俺は、大きな体躯を震わせて、毎日毎日、ひとり、泣き続けた。
村人が来た時は、必死でその悲しみを噛み締めて、隠しこんだ。
｢お前の仲間に襲われたんだ｣
ある村人がそう言った。
アイツらが、俺を探しているんだろう。
結界のせいで俺の気配が分からなくて、聞き回るしかないのだろう。
…解放してくれれば、関わることもないのに。
そんなことを思って何度目かの朝を迎えたある日、突如、体が楽になった。
自由に動く身体。
思った通りに湧き出る力。
手足の拘束を壊していれば、聞き馴染みのある声が響いた。
｢トントンやーん！こんなとこおったん？…え、何そういうプレイ？｣
ベリ、と目隠しを外せば、よく知った琥珀色の瞳がそこにあった。
｢あー…捕まっとったみたいやわ…シャオロンが助けてくれたんか？｣
｢いや？なーんか突然トントンの気配感じたから来てみたら目隠ししてんねんもん！吃驚したわー｣
口振り的にシャオロンではない…。
じゃあ、誰が結界を解いたんや…？
嫌な予感が身体中を巡り、慌てて屋根を伝い村中を回ると、
人が集まり騒がしい空間があった。
屋根の上からそこを見れば、
村人から折檻を受けている、Aがいた。
｢なんで結界を破ったんだ｣
｢これでまた厄災が降りかかるぞ｣
｢お前のせいだ｣
｢鬼の仲間なのか｣
｢裏切り者｣
暴言とともにAを甚振る村人達。
村人は俺を鬼だと罵っていたが、
…あいつらこそ、本当の、鬼じゃないか。
見渡せば見渡すほど、真実の見えてない、鬼、鬼、鬼だらけ。
｢とんとん、｣
たすけて。
そう、小さく動いたAの口を見た瞬間、俺は仲間にしか聞こえない合図で、手を叩いた。
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作者名：ビリヤニ | 作成日時：2024年1月18日 19時
