短編集【d】【npl】 (ページ33)

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貴方は私以外と結婚できません/syp VD ページ33

本日二月十四日。

世間一般で言うバレンタイン。

そんな日に俺は何をするでもなくパソコンに向き合っていた。

そんな時、部屋に響くチャイムの音。

「はい？」

ドアを開けると、誰もおらん。

ピンポンダッシュかと思った瞬間、足に衝撃。

「しょぴく！」

「おー、Aちゃんか、元気やったかー？」

「うん！」

幼い、可愛らしい笑顔を向けてきたその少女は、
Aちゃんという隣に住んでいる女の子。

出会ったきっかけも懐かれたきっかけも長くなる為割愛させてもらいたい。

とりあえず、ドアを開けたままだと寒い。

Aちゃんを部屋に入れて、温かいココアを出した。

「わー、ココアだぁ。ありがとーしょぴくん！」

「おー」

彼女は何でこんな寒い中俺を訪ねてきたのだろうか。

そう思って聞いてみた。

すると彼女は、そうなの！と言って持っていた鞄を漁りだす。

「んっと…あ、あった！」

そう言って取り出したのは、既製品の小粒なチョコ。

それを3粒ほど、小さな手の上に乗せて俺に差し出してきた。

「あんね、今日はバレンタインでしょ！」

「おー、せやな」

「でね、すきな人にチョコをわたすんでしょ！」

満面の笑みで、目の前の少女が言う。

「わたしね、しょぴくんがすきだからチョコあげるの！」

「ぶっ！」

思わず飲み物を吹いてしまった。

ゲホゲホと咳き込む俺に箱ティッシュを渡してくれるAちゃん。

うん、きっと将来いい嫁になるな。

って、俺は何を考えてるんや。