【WT】まっしろなせかい【短編集】 (ページ1)

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独占欲と戯れる【na】ページ1

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Nakamuはよく私の髪を触ってくる。
それは最近ふと気がついたことだ。

例えば、朝起きた時

「ん、んん………ふぁ、」
『おーいNakamuさ〜ん、起きてよ〜……あ、ちょ、』
「もう…ちょっと、…いいじゃん……ね？」

寝起きの悪い彼はふにゃふにゃと呂律の回らない舌で戯言を吐く。そして私を頭ごと抱え込んでぎゅ〜、と抱きしめてくるのだ。
そして決まってその後すぅ、と吸い込む音が聞こえてくる。まるで猫を吸うように私の髪に顔を埋めてくるのだ。

で、二度寝する、までがワンセット。

例えば、ご飯を作ってる時

「ね、ね、俺なんか手伝おうか？」
『ん〜、あと少しで終わるから大丈夫だよ。ご飯よそっててくれる？』
「おっけ！」

楽しげに笑いながら、Nakamuは去り際私の髪をひと房、彼の指にくるりと絡ませ遊んで行く。

ぴょん、と彼の遊んだ横髪が楽しげにはねた。

そんなに髪触るの楽しいのかな、と疑問に思ったら即行動。

夜中、彼のゲームの撮影がない日は大抵2人で映画を見る日になっている。2人でお互いにもたれかかってテレビの中で動く俳優さん達を眺めるこの時間も穏やかで好きだ。

いつもは少し高い場所にある彼の頭も、この時は私と同じくらいの場所にある。だからそっと私はNakamuの頭に手を伸ばし、するり、とひと房髪を掬った。

さらさらしていて、お風呂上がりの、お揃いのシャンプーの匂い。

「うわっ、なにっ！？」
『あ、ごめん。驚かせちゃった。』
「ん、べつにいーよ。なんか付いてた？」

彼は一瞬大きく肩を揺らして私の方を振り向くけど、すぐにへにゃりと頬を緩ませそう言った。

『んー、そういう訳じゃないけど』
「そう？」
『Nakamuさ、よく私の髪触ってくるじゃん』

私がそう言った瞬間、Nakamuの目が点になる。
そしてぶわり、と彼の顔に赤が広がった。

「え、無意識だわ、ごめん。嫌だった？」
『んーん、そういうわけじゃないけど。』

私と違って彼の髪は短めだ。だから私の指から彼の髪はすぐに離れていってしまう。だけど、

『Nakamu、髪、伸びた？』
「へ、？」

私がそう言うと、Nakamuはきょとんとした表情で自分の後ろ髪を触る。

「あー、前散髪行ってからしばらく行ってないかも」
『やっぱり？』

そろそろ行くか〜、と間延びした声で言う彼を横目に私は指に彼の髪を絡ませる。

…髪切るのはいいけど、少しの間でも、一緒の匂いじゃなくなるのはちょっとヤだな、なんて声は気づかれないように呑み込んだ。