【WT】まっしろなせかい【短編集】 (ページ2)

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キミの所為【kn】ページ2

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『い、いやだぁぁぁぁ！！』
「あ〜もう、暴れないの！」

よしよし、と頭を撫でられ、暴走する私は一旦鳴りを潜める。

いや、でもヤなもんはイヤだ。
突然言い渡された1週間の出張。思わず上司をぶん殴ろうか迷ったほどだ。だって今までせいぜい3日くらいだったじゃん。なのに1週間！7日！168時間もきんときと会えないなんて、ほぼﾀﾋ刑宣告も同然だ。

『き、きんとき……一緒に流刑地へ行かないかい…？』
「う、うーん、行けたらいいんだけど、俺も撮影があるからなぁ」

ぽりぽりと頬をかくきんとき。そして大袈裟な程に肩を落とす私。まあ正直彼の活動を邪魔してしまう行為は私としても不本意である。

そんな無用なすったもんだを繰り広げ、3日後、私は新幹線にのって流刑地へと旅立ったのだ。

ーーーーーー

【じゃ、おつかれー】
【おつー】
「お疲れ様」

Nakamuの一言を皮切りに、次々とボイスチャットを抜けていく仲間達。かくいう俺も、きりやんとBroooockが残るチャンネルを横目に退出ボタンを押してゆっくりと伸びをする。

……やっぱり、なんだか世界が静かだ。

いやまあ当たり前なんだけどね

Aが出張に行って2日。一人暮らし歴はある方だからまあ1週間くらい、と思っていたけど。

ゲーミングチェアから立ち上がり自室を出る。
ゴミ箱に投げ込まれたカップ麺やコンビニ弁当の空きガラに見て見ぬふりをして冷蔵庫からお茶を取り出し、ゴクリ。

「っ、はぁぁぁぁぁ」

そして、大きな溜息と共に思わずしゃがみこんだ。

あ〜〜〜〜〜〜、1週間なが〜〜〜〜〜〜

無視しようとしていたけれど、無性に湧き上がってくる淋しさに耐え切れず思わず声を上げる。

Aにはかっこいい俺だけ見ててほしいから大見得きったけど、正直着いていきたかった。

なんならそんな上司がいる会社なんてやめてずっと家にいて欲しい。連絡手段があるとはいえ、直接顔を合わせて話すのはまた違うから。

見送る時だってもっとずっと抱きしめてたかったし、…名残惜しくなるからって駅まで見送りに行かなかったの、やっぱ失敗だったな。

二人の部屋で、一人ぼっちの俺はぼんやりとソファに背をあずける。

「A、早く帰ってこないかな…」

息を吐くように漏れ出た本音と無慈悲なカレンダー。

＿＿俺を"ふたり"に慣れさせた、君のせいなんだからね。