【d!】あああああ【短編集】 (ページ7)

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『＿＿A。今日もどっか行くか？』

同郷、年齢が近い。たったそれだけで親しくなる程子供の思考回路は単純である。俺とAは毎日村の外で探検と壮大に称した散歩をする仲であった。暇があるならばあの子の家の戸を叩き、遊ぼう。と誘う。それに対しそれはもう眩しい笑顔で応えるのだ。もちろん。と。それがなんとも嬉しくて。

＿＿まあ、長くは続かないもんやな。そういうのって。

『...ごめんなあ。俺、軍学校に通わな。』

両親が汗水垂らして貯めた大金を俺の為に使うのだから、それにしかと応えなければならない。たといどの様な事をおざなりにしても。
＿＿故に、俺はAと数年の別れを告げた。幼いAにとってそれば心を引き裂く刃物で、どんな劇薬よりも致死性のあるモノで。どうして、なんで。とただを捏ねるAとそれを諌める彼女の母親。いよいよ彼女の涙腺が決壊する。といったところで俺は村の門から背を向けた。これ以上見ていたら決心が揺らいでしまいそうだったから。戻りたい。と自身の親を裏切ってしまいそうになる。Aの声が聞こえる。嘘だ。と懇願する叫び。

＿＿振り返れないよ。

ごめんな。と聞こえるはずも無い、蚊の鳴くような声。ただその空っぽの謝罪を反芻する事のみしか小さな頭では思い付かなかった。

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